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【不動産が絡む相続④】賃借権の相続

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賃借権の相続について教えて下さい。 

くり子ちゃん

1 借家人が死亡した場合には、借家人の有していた賃貸借上の権利義務は、相続人に承継されます。

ただし、公営住宅法などの特別法が適用される場合には、当該法規にしたがい、相続による承継の可否が決まります。

たとえば、公営住宅法が適用される住宅については、公営住宅法の目的、入居者の資格制限、選考方法などに関する公営住宅法の規定の趣旨に鑑み、入居者が死亡した場合には、その相続人は、使用権を当然に承継するものではないとされています(最判平成2年10月18日)。

2 借家人と同居していた内縁の妻は、相続人ではありませんから、借家権は相続しません。

しかし、判例は、居住者の保護を図るため、借家人の内縁の妻は、借家人が死亡した場合には、借家人である被相続人を中心とする家族共同体の一員として、相続人の賃借権を援用して当該家屋に居住する権利を主張することができるとの立場をとっています(最判昭和42年2月21日)。事実上の用紙(最判昭和37年12月25日)や内縁の夫(最判昭和42年4月28日)についても同様の保護が図られています。

3 このように、非相続人である居住者は、相続人の賃借権を援用して当該家屋に居住する権利を主張することができますが、相続人とともに共同賃借人になるわけではありません。

相続人と同居していた非相続人との間でトラブルが発生した場合には、どのように対処すべきかが問題となります。

この点、賃借権の事案ではありませんが、被相続人の死亡後、その所有家屋に居住する内縁の妻に対して、相続人が家屋の明渡請求をした事案において、この明渡請求が権利の濫用にあたり許されないとした判例があります(最判昭和39年10月13日)。

また、相続人が借家権を放棄したり、家主との間で賃貸借契約を合意解除した場合には、居住者の保護の観点から無効であると解する裁判例もあります(大阪地判昭和38年3月30日)。

この他、内縁の夫婦が、共有する不動産を居住または共同事業のために共同して使用していた場合に、死亡した内縁の夫の相続人から内縁の妻に対して賃料相当額の不当利得返還請求がなされた事案につき、特段の事情がない限り、内縁夫婦両者の間において、その一方が死亡した後は、他方が同不動産を単独で使用する旨の合意が推認されるとして、不当利得返還請求を棄却した判例があります(最判平成10年2月26日)。

4 居住用建物の賃借人が、相続人なしに死亡した場合には、その当時、婚姻または縁組みの届出をしていないが、建物の賃借人との事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居人があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継します。

ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に、建物の賃貸人に対して反対の意思を表示したときは、承継しないこととされています(借地借家法36条)。