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【不動産が絡む相続⑦】占有権の相続

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占有権を相続する際のポイントについて教えて下さい。 

くり子ちゃん

1 相続は、一身専属性のあるものを除き、一切の権利義務が承継されますので(民法896条)、占有権も相続の対象になると解されています。

2 相続と取得時効について、判例は、相続の場合にも民法187条を適用します(最判昭和37年5月18日)ので、相続人は、自己の占有だけを主張することもできますし、被相続人の占有と自己の占有とを併せて主張することもできます

その結果、被相続人が占有を開始した時に悪意である場合でも、この占有を承継した善意の相続人は、自己の占有だけを主張して、10年の取得時効の適用を受けることができます。

3 権原の性質上、占有者に所有の意思がないものとされる場合(他主占有、例えば、賃借している場合)には、何年占有を継続しても、取得時効は成立しません。

ところが、その場合でも、占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、または新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めると、占有の性質が変更し、他主占有が自主占有に変わることになります(民法185条)。

ここで、相続が新権原に該当するかが問題となりますが、判例はこれを肯定しています(最判昭和46年11月30日)。

したがって、被相続人が他人の土地を賃借していた場合でも、相続人が、この土地を被相続人の遺産として自己が相続したものと信じて占有した場合には、新権原による自主占有が開始されたことになり、取得時効の成立の余地が生ずることになります。