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【不動産賃貸⑩】競売と敷金の関係は?

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競売で賃貸物件を買い受けたのですが、未払賃料の請求権や敷金の返還義務も前所有者から引き継ぐのでしょうか。

くり子ちゃん

まず、賃借人の側から言いますと、建物賃貸借の場合、賃借権の登記がなくても建物の引渡しを受ければ、建物の新所有者に対して賃借権を主張することができます(借地借家法31条)。

この場合、旧所有者と賃借人との間の賃貸借契約は法律上当然に新所有者と賃借人との間に移り、新所有者は旧所有者の賃貸借契約上の地位を承継することになります。

もっとも、新所有者が競売により所有権を取得した場合で、①賃借人が建物の引渡しを受ける前に差押えがなされていた場合や、②賃借人が引渡しを受ける前に抵当権が設定されていた場合には、賃借人はその賃借権を新所有者に対抗することはできず、賃貸人たる地位は新所有者に移転しません

このように、競売による買受人に対抗できない賃借人は、その買受人が賃貸借を承継しない限り、買受人に敷金の返還を請求することはできません。

逆に、新所有者が賃貸人の地位を旧所有者から承継した場合、旧所有者に差し入れられていた敷金は、競落の場合・任意譲渡の場合ともに、賃貸人の地位に随伴して新所有者に移転します。

なお、旧所有者に未払賃料債権がある場合、これは新所有者には移転せず、当然に敷金から差引清算され、その残額についてのみ敷金関係が新所有者に承継されることになります(最高裁昭和44年7月17日判決)。