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【境界確定・所有権確認⑤】境界確定訴訟の当事者は誰?

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隣地との境界がはっきりしないため、境界確定訴訟を提起しようと考えています。ところが、隣地には借地人が住んでおり、隣地所有者は別人です。このような場合、誰を相手に裁判を起こせばいいですか。また、隣地の土地が、5名の共有の場合はどうですか。

くり子ちゃん

1 境界確定訴訟の当事者について、最高裁は、境界に接する土地の実質的所有者であると判断しています(最判昭和59年2月16日、最判平成7年3月7日、最判平成7年7月18日、最判平成11年2月26日)。

したがって、ご質問の前半の場合には、借地人ではなく、隣地の所有者を相手に裁判を起こす必要があります。

所有者以外については、判例においては、地上権者について当事者適格を否定しています(最判昭和57年7月15日)。

また、賃借権者についても、同様に否定されています(名古屋高判昭和32年7月13日、岡山地判昭和43年7月18日)。

土地の単なる管理者も同様に否定されています(大阪地判昭和59年1月27日、横浜地判平成元年3月16日)。

2 以下は、最高裁が示した「相隣地の所有者」についての判断です。

①相隣地の所有者が当事者適格を有するが、それは具体的な土地の実質的な所有者であり、係争地の中間に第三者の土地が介在している場合は否定される(最判昭和59年2月16日)。

②隣接する土地の一方の所有者が境界の一部に接する隣接地の一部を時効取得した場合であっても、両土地の各所有者は当事者適格を有する(最判昭和58年10月18日)。

③甲、乙両土地が隣接し、甲地のうち境界の全部に隣接する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両土地の各所有者は当事者適格を失わない(最判平成7年3月7日)。

④甲地と隣接する乙地の所有者が甲地の全部を時効取得した場合には、甲地の所有者は当事者適格を失う(最判平成7年7月18日)。

⑤甲地のうち、乙地との境界の全部に接続する部分を乙地所有者Yが、残部分をXがそれぞれ譲り受けた場合において、甲、乙両地の境界を確定することによって初めてX、Yがそれぞれ取得した土地の範囲の特定が可能になるときには、X、Yは、甲、乙両地の境界確定の当事者適格を有する(最判平成11年2月26日)。

3 次にご質問の後半の場合ですが、共有地の境界に関する争いについては、共有者全員が関与する必要性や、共有者全員にとって共通の内容で確定させる必要があることなどの理由から、共有地に関する境界確定の訴えは、その共有地の共有者全員を当事者としなければなりません固有必要的共同訴訟・最判昭和46年12月9日)。

共有地につき境界確定訴訟の提起に同調しない者がいる場合には、非同調者を被告に加えて、訴えを提起することになります(最判平成11年11月9日)。