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【競売手続⑧】競売不動産の元所有者の買受人に対する固定資産税等の日割精算額の不当利得返還請求の可否

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競売不動産に係る固定資産税等の賦課期日時点(1月1日)における所有者が、当該固定資産税等を納付した場合、賦課期日後に担保不動産競売手続により当該不動産を取得した買受人に対し、納付した固定資産税等のうち当該不動産の所有権移転日の翌日以降の期間に対応する日割精算額について、不当利得として返還請求をすることはできますか。

くり子ちゃん

1 競売不動産に係る固定資産税等の賦課期日時点(1月1日)における所有者が、当該固定資産税等を納付した場合、賦課期日後に担保不動産競売手続により当該不動産を取得した買受人に対し、納付した固定資産税等のうち当該不動産の所有権移転日の翌日以降の期間に対応する日割精算額について、不当利得として返還請求することができるかについて、大阪地裁平成23年2月7日判決、東京地裁平成12年12月8日はこれを否定しました。

これは、「競売不動産に係る固定資産税等の負担について、これを不動産競売手続において執行債務者と買受人との間の合意により調整することは制度上予定されておらず、また、同手続が終了した後に、別個の手続により固定資産税等の負担を調整することも基本的に想定されていないと解するのが相当である。現在の不動産競売手続実においては、通常、競売不動産の評価や売却基準価額及び買受可能価額の決定に際し、固定資産税等の税額及びその納付の有無が考慮されていないが、それは、以上のような固定資産税等の負担の調整が制度上予定されていないことに基づくものであると解される。そして、このような不動産競売手続実務を前提に、後日、競売不動産に係る当該年度の固定資産税等の請求を受けることはないと期待して当該不動産の買受けの申出をすることをもって、不合理な行為であるということはできないし、それにより、結果的に買受人が最大で1年分の固定資産税等の経済的負担を免れることになったとしても、当該固定資産税等の賦課期日における不動産の所有者との関係で不当な結果を招来するということもできない」ことが理由とされています(大阪地裁平成23年2月7日判決参照)。

2 これに対し、東京高裁平成13年7月31日判決は、不動産の最低売却価額(売却基準価額)の決定に固定資産税等の負担が反映されたなどの特段の事情のない限り、その返還を求めることはできないとの折衷的な見解を示しています。

3 なお、競売の事案ではありませんが、東京高裁昭和41年7月28日判決は、年度の途中に、売買契約により所有権が移転した場合には、買主は、売主に対して当該年度の固定資産税等を所有期間に応じた日割をもって負担すべきであると判断しています。