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【近隣トラブル③】日照権侵害を理由に高層マンション工事の差止めはできるか?

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隣地に高層マンションの建築工事が始まったのですが、このマンションが完成すると、私の家には全く日が当たらなくなってしまいます。高層マンションの建築を差し止めることはできますか。

くり子ちゃん

1 日照権の侵害を理由に、建築の差止めや損害賠償請求が認められるか否かについても、騒音や悪臭と同様、日照権侵害による被害の程度が受忍限度を超えているか否かにより決せられます。

2 日照権侵害による被害の程度が受忍限度を超えているかについては、被害の程度、地域性、加害回避の可能性、被害回避の可能性、被害建物の用途、加害建物の用途、先住関係、加害建物の建築基準法違反の有無、交渉経過などの諸事情を考慮した上で判断することになります。

3 被害の程度は、日照が侵害されるのがどの程度の時間であるかにより判断されます。

具体的には、日照被害を受ける建物の主要な開口部において、冬至の日の午前8時から午後4時までの日照の状況を日影図(建築物によって生じる影を時刻毎に平面図に書き込んだ図)等を用いて判断します。

4 地域性は、一般的には、都市計画法上の住居系地域は日照保護の必要性が大きく、経済的な利便の増進が重要視されている商業地域や工業地域では、日照の確保の必要性は他の地域と比較して小さくなります。

5 加害回避の可能性は、加害建物について建物の配置や設計を変更することによって日照侵害を回避することができるか、その変更は容易に行うことができるかが判断の要素となります。

6 被害回避の可能性は、敷地の南側境界線に接して建物が建てられており北側は空いているとか、被害建物が平屋であるが、2階建にすれば2階部分で日照を確保できるなど、被害の原因が被害者側にもあるような場合や、被害者側で被害を回避できる可能性がある場合には、それらの事情も受忍限度の判断を行う上で考慮されます。

7 被害建物の用途は、住居の方が事務所、店舗、工場などの居住に関係のない建物よりも日照の確保の必要性は高くなります。

8 加害建物の用途は、加害建物が学校、病院等の公共的な建物である場合には、マンション等の営利を目的とした建物よりも、被害者にとって受忍限度の判断は厳しくなります。

9 先住関係は、被害者が長年そこに居住して日照利益を享受してきた場合は日照被害が認められやすくなります。

10 加害建物の建築基準法違反の有無は、日影規制や北側斜線制限など建築基準法に違反した建物については、建築差止めや損害賠償が認められやすくなります。

11 交渉経緯は、建築主が被害者との交渉に全く応じないで工事を強行したような場合には、被害者の請求は認められやすくなり、逆に、被害者が、近隣住民が既に建築主との示談に応じているのに、合理的な理由もなく建築主との交渉に応じないような場合には、受忍限度を超えていないとの判断がされやすくなります。