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【近隣トラブル④】通風妨害を理由に塀の撤去を請求できるか?

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隣地の所有者が境界に接して高い塀を設置したため、全く風が通らなくなってしまいました。隣地の所有者に対して、塀を撤去するように請求することはできますか。

くり子ちゃん

1 通風の問題も、騒音や悪臭、日照の問題と同様、その侵害による被害の程度が、社会通念上、受忍すべき限度を超えているか否かにより決せられます。

受忍限度を超える場合には、侵害を生じさせている建築物の撤去や、損害賠償請求が認められます。

2 通風被害が、受忍限度を超えているかについては、日照侵害の場合と同様、被害の程度、地域性、加害回避の可能性、被害回避の可能性、被害建物の用途、加害建物の用途、交渉経過などの諸事情を考慮した上で判断することになります。

3 裁判例では、隣地所有者が、敷地境界に接してベニヤ板の板塀を設置したために通風、採光が妨げられたとして板塀の撤去と慰謝料の支払いを求めた事案で、板塀により通風が完全に遮られ、日照も相当程度阻害され、被害者が不快な生活を強いられていること、板塀の形状からすると、外観が異様であり、圧迫感も生じていること、隣地所有者が板塀を設置したのは、被害者敷地からの植栽物の越境に対する防衛のためではあるが、編み目の細かいネットを張る等、通風を阻害しないような別の手段も考えられること等を理由として、塀の撤去と慰謝料の支払いを認めた事例があります(東京地判平成14年3月28日)。

4 また、隣地所有者が、プライバシー侵害を危惧して、高さ5.5メートルの金属フェンスを設置したことにより、採光、通風、眺望が阻害されたとして、フェンスの撤去と慰謝料の支払を求めた事案で、隣地所有者がフェンスを設置したことは、プライバシー侵害に対する不安を理由とするものとはいえ、社会通念上相当と認められる範囲。限度を逸脱していること、被害者に対して、受忍限度を超える採光阻害、通風阻害、心理的圧迫感、恐怖感等を与えていること、被害者が紛争の円満な解決のため誠意ある対応をしているのに対し隣地所有者が頑なな対応をしていること等を理由として、高さ2メートルを超える部分のフェンスの撤去と慰謝料の支払いを認めた事例もあります(東京高判平成13年12月26日)。