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【不動産賃貸⑲】ペット飼育を理由に賃貸借契約を解除したいのですが・・・

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私は、マンションのオーナーですが、賃借人の中に、ペットを無断で飼っている人がいます。賃貸借契約書には、特にペット飼育を禁止する規定は入っていないのですが、ペットの匂いや鳴き声が酷く、苦情が出ています。このような場合、ペットを飼育している賃借人との賃貸借契約を解除することはできますか。

くり子ちゃん

賃貸借契約に、ペット飼育禁止特約がない場合には、居住に付随してペットを飼育することは、賃貸借契約の当事者として当然予想できる利用方法の範囲内と考えられるので、原則と許容されるといえます。

しかし、賃貸借契約は、当事者の信頼関係を基礎とする継続的な契約関係ですから、賃借人がペットを飼育することで賃借建物の利用上重大な問題を生じさせ、当事者間の信頼関係が賃貸借契約を維持しがたい程度に破壊された場合には、賃貸借契約を解除することができます。

つまり、ペット飼育禁止特約の有無にかかわらず、一定の場合には、ペットの飼育による匂い、汚れ、騒音等を理由に賃貸借契約を解除して賃貸住宅の明渡しを請求できるわけです。

なお、特約がある場合には、飼育の仕方に注意を払っている場合でも、解除・明渡しが認められることがある(東京地裁平成7年7月12日判決)のに対し、特約がない場合には、賃貸人や近隣などに相当程度の迷惑・損害を与えた場合でなければ、解除は認められないという違いがあります。

これまでに裁判で問題となったケースとしては、賃借人が猫10匹を室内で放し飼いにするとともに、居宅の周辺にペットフードなどを置き、野良猫10数匹が敷地内に集まり、その悪臭や鳴き声で近隣から苦情が寄せられたため、賃貸人が契約を解除して建物の明渡しを求めたというものがあります。

裁判所は、ペット飼育禁止特約のない場合であっても、ペットを飼育することで、建物を汚染、損傷し、近隣にも損害、迷惑をかけえることにより賃貸人に苦情が寄せられるなどして、賃貸人に容易に回復しがたい損害を与えるときには、ペットの種類、数、飼育の態様、期間、建物の使用状況、地域性などを考慮し、ペットの飼育が居住に付随して通常許容される範囲を明らかに逸脱して、賃貸借契約当事者間の信頼関係を破壊する程度に至っていると認められる限り、賃貸借契約における用法違反(民法616条、594条1項)にあたるとして、賃貸人からの明渡請求を認めました(東京地裁昭和62年3月2日判決)。