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【不動産賃貸㉒】ピッキングと賃貸人の管理義務責任の関係は?

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ピッキング盗難に遭ってしまいました。ピッキング被害に遭いにくいカギであれば、今回の被害を防げたのではないかと思います。賃貸人に管理義務責任を問うことはできますか。

くり子ちゃん

賃貸借は賃貸人が物の使用収益をさせ、賃借人が賃料を支払う契約です(民法601条)から、賃貸人としては賃貸借期間中、当該物件を契約目的に沿った使用収益ができるようにする保存管理責任を負うと解されています。

本件のご質問のようなピッキング被害についての賃貸人の管理義務責任が問われた裁判例をご紹介します。

東京地裁平成14年8月26日判決では、賃貸人には、賃借人主張の被害防止策を講じる義務、ピッキング被害を賃借人に報告する義務はないと判断しました。

すなわち、裁判所は、そもそも賃貸借契約において、賃貸人の負うべき本来的義務は、使用収益させる義務、修繕義務、担保責任及び費用償還義務であって、賃借人所有財産を盗難などから保護することを内容とする管理義務は、賃貸借契約から当然に導かれるものではなく、特約や信義則上の付随義務として認められる余地のあるものであるとし、賃貸人がこのような管理義務をどの程度負うかは、個々の賃貸借契約の事情に応じて判断されるべきであるとしています。

具体的に賃貸人がどの程度・範囲の管理義務を負っているかについては、マンション等賃貸物件の規模や賃料、賃借目的などの契約内容、防犯についての賃貸借契約上の特約などにより異なるわけです

したがって、本件のご質問のケースでは、例えば、契約上、防犯についての合意があり、盗難被害について免責条項もなく、かつ、賃貸人がピッキング被害を知り、警察からの指導や、賃借人からのカギの交換の求めがあったにもかかわらず、十分な対策を講じなかったなどの事情がある場合には、賃貸人の管理義務責任を問える可能性があると考えられます。