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【不動産賃貸㉕】法人成りした場合も無断転貸になるの?

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私は、店舗を賃借して、お店をやっているのですが、この度、税金対策のために株式会社組織にしました。すると、家主から、このような場合には、無断賃借権の譲渡または無断転貸にあたるから契約を解除すると言われました。家主の言うとおり、契約の解除は認められてしまうのでしょうか。

くり子ちゃん

民法612条は、賃貸人の承諾のない賃借権譲渡および転貸を禁止し、賃借人がそれに違反して第三者に目的物を私用させたときは、賃貸人に契約解除権を認めています。

それでは、今回のご質問のようなケースでも、賃貸人は契約を解除することができるでしょうか。

法人成りの場合について、裁判所は、経営の実態に実質的な変動がない場合には、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして、賃貸人による解除は認められないとしています(最高裁昭和46年11月4日判決)。

経営の実態の実質的な変動の有無は、事業の内容、役員の構成(営業の責任者)、資本の状況等により判断されます。

したがって、本件の場合は、個人商店から法人組織に変わっただけであり、事業の内容や営業の責任者に変動はなく、新たな出資者がいるわけでもないようですから、経営の実態に
実質的な変動はないということで、家主からの解除は認められないと思われます。

なお、法人が賃借人の場合、持ち分の譲渡および役員の交代により実質的な経営者が交代しても、法人格の同一性が失われるものではないとして、賃借権の譲渡には当たらないとした判例もあります(最高裁平成8年10月14日判決)。