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【不動産賃貸㉘】敷引特約って有効なの?

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私は、現在、賃貸アパートに住んでいるのですが、来月、退去することが決まりました。契約時に家主に対して敷金15万円を支払っています。賃貸借契約書には、「敷金については、退去の際に10万円を控除し、残りを返還する」という内容の記載があるのですが、やはり契約書の記載通り、返ってくる敷金は5万円だけなのでしょうか。

くり子ちゃん

ご質問のように、賃貸借建物の明渡しの際、当然に敷金の何割かを控除し、その残りを返還する旨の特約を敷引特約などと呼ばれています。

このような敷引特約は、消費者契約法10条により無効でないかが問題となります。

この点、最高裁は、保証金名目に差し入れられた金員について、通常損耗等について賃借人にその費用を負担させる内容の敷引特約の成立を前提として、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等の一時金の授々の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り、信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって、消費者契約法10条により無効となると解するのが相当であると判断しました(最高裁平成23年3月24日判決、最高裁平成23年7月12日判決)。

いずれの最高裁判決の事案においても、賃貸借契約において敷引金額があらかじめ契約時に一定額と決められていたことや、賃貸人と賃借人間で賃料および敷引金以外の礼金、更新料等の授受はありませんでした。

敷引特約を定めている場合においても、敷引される金額が契約時に不明確であったり、敷引以外にも金銭の授受が認められ、賃貸人が実費や予想される費用負担額を超えた利益を受けている場合などについては、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものとして敷引特約が無効と判断されることもありえると思います。