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【近隣トラブル⑨】袋地通行権とは?

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袋地通行権とは何ですか。どのような場合に認められるものか教えて下さい。

くり子ちゃん

1 袋地通行権とは、他人の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者が、公道に出るためにその土地を囲んでいる他人の土地(囲繞地)を通行できる権利です(民法210条1項)。

袋地は、公道に出ることができなければ実際上利用価値がなくなってしまうので、このような権利が認められています。

なお、「公道」とは、いわゆる公道に限らず、公衆が自由に通行できる私道も含まれます。

2 袋地通行権は、法律上当然に認められる権利であり、囲繞地所有者には負担を強制するものです。

そこで、通行の場所および方法は、通行権者にとって、必要であり、かつ、囲繞地のために最も損害が少ないものを選ばなければなりません(民法211条1項)。

3 「公道に通じない」の意味ですが、公道に一応通じることはできるが、その経路・幅員が社会通念に照らすとその土地の用途に応じた利用に不適当である場合も含まれます。

4 通行権者には通行権があるので、所有者の同意なくとも、自ら通路を開設することができます(民法211条2項)。

ただし、どの程度のものが設置できるか(舗装、照明、障害物の除去等)は具体的には難しいため、事前の協議が大切になってきます。

具体的な協議がまとまらなければ最終的には訴訟を提起し、その中で解決することになります。

なお、開設および維持の費用は、袋地所有者の負担となります。

開設費用については、一時金で支払うことになります(民法212条但書)。

5 囲繞地を通行するにあたり、原則的に償金の支払いが必要となります(民法212条)。

これを怠ると債務不履行責任が生じますが、囲繞地所有者は通行権の消滅請求をすることはできません

なお、共有地の分割や土地の一部譲渡により袋地が生じた場合には、分割した相手の土地しか通れない代わりに、償金を支払う必要はありません(民法213条)。

6 袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由しなくても、囲繞地所有者ないし囲繞地につき利用権を有する者に対して、囲繞地通行権を主張することができます(最判昭和47年4月14日)。