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【建築紛争④】違法建物の建築を目的とする請負契約の効力

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契約当事者が建築基準法に違反する建物の建築を目的とする請負契約を締結した場合、その契約が公序良俗違反で無効と判断されることはありますか。また、それはどのような場合ですか。 

くり子ちゃん

1 ご質問のケースについては、最判平成23年12月16日が参考になりますので、ご紹介いたします。

同最高裁判決は、AとYは、Aの注文により賃貸用アパート2棟の建築請負契約を締結したが、その際、建築基準法等の法令の規定を遵守して本件各建物を建築すると貸室数が少なくなり、賃貸業の採算がとれなくなることなどから、違法建物を建築することを合意した。

Yは、本件各建物の建築をXに請け負わせた。Xは、AY間の上記計画について詳細に説明を受け、全て了承した。

ところが、工事着工後、違法建築であることが区役所に発覚し、また、近隣住民から苦情が述べられるなどしたため、Xは違法を是正するための追加変更工事を行わざるを得なくなった。

本件各建物は追加変更工事を経て完成し、XからYに引き渡されたが、Yは工事代金の一部を支払わないため、XがYに対して追加変更工事の費用も含めた請負代金の支払いを求めた(本訴請求)。

これに対し、Yは、建物に瑕疵があるなどとして損害賠償等を請求した(反訴請求)。

2 以上の事案において、最高裁は、本件の違法建築にかかる計画は、「確認済証や検査済証を詐取して違法建物の建築を実現するという、大胆で、極めて悪質なものといわざるを得ない。加えて、本件各建物は、当初の計画どおり実施図面に従って建築されれば、北側斜線制限、日影規制、容積率・建ぺい率制限に違反するといった違法のみならず、耐火構造に関する規制違反や避難通路の幅員制限違反など、居住者や近隣住民の生命、身体等の安全に関わる違法を有する危険な建物となるものであって、これらの違法の中には、一たび本件各建物が完成してしまえば、事後的にこれを是正することが相当困難なものも含まれていることがうかがわれることからすると、その違法の程度は決して軽微なものとはいえない。・・・以上の事情に照らすと、本件各建物の建築は著しく反社会性の強い行為であるといわなければならず、これを目的とする本件各契約は、公序良俗に反し、無効であるというべきである。」

「これに対し、本件追加変更工事は、・・・基本的には本件本工事の一環とみることはできない。そうすると、本件追加変更工事は、その中に本件本工事で計画されていた違法建築部分につきその違法を是正することなくこれを一部変更する部分があるのであれば、その部分は別の評価を受けることになるが、そうでなければ、これを反社会性の強い行為という理由はないから、その施工の合意が公序良俗に反するものということはできないというべきである。」

最高裁は、このように述べて、本件追加変更工事の具体的内容、金額等について更に審理を尽くさせるため、原判決中Xの反訴部分を破棄し、原審に差し戻しました。