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【近隣トラブル⑪】自動車通行と袋地通行権

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私の土地は袋地で、隣地の幅1メートル程の通路を通り、公道まで出ていますが、自宅に高齢者がいるため、自宅の前まで車が入れれば非常に助かります。隣地所有者に道路の拡幅を求めることはできますか。

くり子ちゃん

1 自動車による通行と袋地通行権の成否について、最高裁は、「他の土地について自動車による通行を認める必要性、周辺の土地の状況、自動車による通行を前提とする210条通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべきである」と判示しています(最判平成18年3月16日)。

同最高裁の判断を受けて、差戻後の高裁は、墓地経営のため自動車通行を認める必要があること、現在自動車の通行は禁止されているが従前通行されていたこと、走行車両増加による住民の不利益はさほどのものではないなどとして自動車通行を認めました(東京高判平成19年9月13日)。

2 自動車通行と袋地通行権の問題については、複数の裁判例がありますが、個別の事情により判断は分かれています。

従前から広い幅員での利用形態があり(位置指定があるのが典型)、現実に自動車の通行がなされていたとか、袋地の使用にあたって、客観的にも自動車の通行が必要で周りからも認知されているような場合であれば、自動車の通行も認められるものと思われます。

これに対し、従前の歩行には支障はないが、拡張して自動車も通行できるようにしたいという場合には、拡幅が認められるのは難しいと思われます。

例えば、東京地判平成19年6月28日は、前記の最高裁判決を前提に、袋地購入者が事前に自動車の通行について問題があることを承知で購入しており、共同住宅建築の用地に使用したいというのも主観的な利用目的に過ぎず、本件囲繞地に必然的に伴う客観的な利用目的とはいえないため、従来から継続していた車両通行の制限を受けるのはやむを得ないとし、他方で、私道所有者の不利益も具体的に認定し、自動車の通行を認めませんでした。