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【不動産売買⑭】買主の眺望権

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売主から眺望をセールスポイントに勧誘をされ、新築マンションを購入しました。しかし、引渡後に売主自ら周辺の地域にマンションを建設し、眺望を阻害した場合、買主は売主に対して、損害賠償を請求できるでしょうか。 

くり子ちゃん

1 眺望については、周辺における客観的状況の変化するものです。

また、土地の所有者の建物建築は、本来自由であり、制約はないはずです。

したがって、買主の眺望権は、当然に法的保護に値するとはいえないわけです。

この点について、大阪地判平成11年12月24日は、「特定の場所が、その場所からの眺望の点で格別の利益を持ち、このような眺望利益の居住を一つの重要な目的としてその場所に建物が建築されたように、当該建物の所有者ないし占有者による、その建物からの眺望利益の享受が、社会通念上、独自の利益として承認されるべき重要性を有すると認められる場合には、眺望権は、法的見地からも保護されるべき利益である。」と判示しています。

それゆえ、マンションの買主に法的保護を与えるか否かは、具体的状況の下において、眺望の利益との関係で、これを侵害する行為が、行為者の自由な行動として一般に是認し得る程度を超えて不当な侵害であると認められる場合に限られます。

不当な侵害にあたるか否かについては、侵害行為の性質、態様、行為の必要性と相当性、行為者の意図、目的、加害回避の方法の有無等の要素を考慮し、他方において、被侵害利益の価値ないし重要性、被害の程度、範囲、侵害の予測可能性等の諸事情を勘案して決定されます(大阪地判平成11年12月24日)。

2 売買の目的物の周辺で眺望を妨げる建物を建築したために、売主の義務違反が肯定された裁判例として、東京地判平成18年12月8日、札幌地判平成16年3月31日、横浜地判平成8年2月16日、大阪地判平成5年12月9日などがあります。

例えば、札幌地判平成16年3月31日は、「Y(売主)が本件新マンションを建築する際に、X(買主)の眺望を害さないよう配慮する義務が認められるかについて検討を進める。Yは「Sハウス」シリーズの一環として本件マンションを建築し、特に高層階については、その利便性とともに眺望もセールスポイントとして販売し、価格にも反映させている。そして、ここに居住するXは、この眺望も高層階の区分建物購入の重要な動機としており、Yらもそのことは了解していたはずである。そうすると、Yは、本件マンション建築をし、Zともども販売を進めた者として、Xに対し、信義則上その眺望を害しないよう配慮する義務があるといわなければならない」と判示しています。