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【建築紛争⑧】請負代金支払請求と瑕疵修補請求や損害賠償請求は同時履行の関係にあるか?

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建物に瑕疵がある場合、注文者は瑕疵修補請求と損害賠償請求をすることができますが、これらの請求と請負代金支払請求は同時履行の関係にありますか。

くり子ちゃん

1 ご質問の点については、最判平成9年2月14日は、注文者が請負人に対して補修に代わる損害賠償請求権を有するときは、瑕疵の程度や交渉態度などに鑑み、信義則に反すると認められる時を除き、賠償を受けるまでは残代金の支払いを拒むことができ、履行遅滞の責任を負わないと判示し、原則として、請負代金の残代金請求と補修に代わる損害賠償請求が同時履行の関係にあることを認めました。

2 この最高裁の判断を受け、信義則違反と認めた裁判例をご紹介します。

「本件瑕疵は、主として柱と建具との間の僅かな隙間であってその修理費用に照らしても軽微なものである。その上訴訟経過をみると、Yは民法634条1項に従い相当の期限を定めて瑕疵の修補を求めたことはなく、当初から一貫して損害賠償額を代金債権から減額するように求めていたに過ぎず、同時履行の抗弁を確定的に主張したのは当審における審理の終結間際であった。以上の事情に鑑みるとYが瑕疵修補を求めて本件請負代金全額の支払いを拒むことは信義則に反して許されないというべきである。」

「また損害賠償請求権と残代金支払請求権の相殺をした場合でも、Yは支払いを約束しながら何度もこれを反故にし、挙げ句の果てに値打ちがないとか価値がないなどと主張して具体的な瑕疵の箇所を指摘することなく支払を拒み続けて本訴提起に至ったという事情を鑑みると本来は相殺の意思表示をするまで請負代金債権について履行遅滞による責任を負わないはずであるが、支払拒絶をすることが信義則上許されない以上当初の弁済期経過後から履行遅滞になる。」(福岡高判平成9年11月28日)