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【建築紛争⑨】注文者からの相殺と履行遅滞となる時期

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請負人の報酬請求に対して、注文者が修補にかかる損害賠償請求権をもって相殺の意思表示をした場合、注文者はいつの時点から履行遅滞に陥りますか。

くり子ちゃん

ご質問の点については、最判平成9年7月15日が参考になりますので、ご紹介いたします。

最高裁は、以下のとおり判示し、ご質問のケースについて、注文者は、相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞となるとしました。

「けだし、瑕疵修補にかわる損害賠償請求権と報酬請求権は、民法634条2項により同時履行の関係にたつから、注文者は請負人から瑕疵修補にかわる損害賠償債務の履行またはその提供を受けるまで、自己の報酬債務の全額について履行遅滞による責任を負わないと解されるところ(最判平成9年2月14日)、注文者が瑕疵修補にかわる損害賠償請求権を自働債権として請負人に対する報酬債権と相殺する意思表示をしたことにより、相殺適状時にさかのぼって消滅したとしても、意思表示をするまで注文者はこれと同時履行の関係にある報酬債務の全額について履行遅滞による責任を負わなかったという効果に影響はないと解するべきだからである。」

なお、最判平成9年2月14日の内容については、【建築紛争⑧】をご参照ください。