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【近隣トラブル⑯】建築基準法上の道路における通行妨害排除請求

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「位置指定道路」や「みなし道路」となった私道に私道所有者が物を設置して通行を妨害している場合、妨害を止めるように請求することはできますか。 

くり子ちゃん

1 ご質問の「位置指定道路」と「みなし道路」はいずれも建築基準法上の道路です。

位置指定道路は、建物敷地の接道要件(原則として建物敷地は4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない)を満たすため、関係者の申請に基づいて特定行政庁からその位置の指定を受けた道路です(建築基準法42条1項5号)。

みなし道路とは、別名、2項道路ともいい、4メートル未満の道路ではあるものの、従前から建築物の建ち並んでいる場所であって、特定行政庁が建築基準法上の道路とみなして指定した道路です(同法42条2項)。

私道が、位置指定道路やみなし道路になっていると、建築基準法上の道路として、同法の規制を受けることになります。

すなわち、当該私道所有者であっても、その道路内には建築物や擁壁を築造してはならない義務があり(同法44条)、その私道の変更や廃止も、これによって接道要件に抵触するとくは特定行政庁からその禁止制限を受けます(同法45条)。

2 この点に関する最高裁判例を3つご紹介します。

①みなし道路と指定されていた私道に関する事件で、公道に近い当該私道所有者(Y)は従前みなし道路の中心線からブロック2枚分の幅離れた手前の位置に塀を設けていたところ、建物の建て替えの際、その塀を取り壊して今度は道路中心線の位置まで張り出してブロック塀を新設してしまった(工事停止命令が出たが、これを無視して設置した)事案で、隣接する奥の敷地所有者(X)が当該ブロック塀の収去を請求した事件において、最高裁は、「Yが従前設置していた塀の内側の部分は、現実に道路として開設されておらず、Xが通行していたわけではないから、右部分については、自由に通行し得るという反射的利益自体が生じていない・・・また・・・道路の幅員が狭められた範囲はブロック2枚分の幅の程度にとどまり、本件ブロック塀の外側には公道に通ずる通路があるというのであるから、Xの日常生活に支障が生じたとはいえない・・・Xの人格的利益が侵害されたものとは解し難い」としてブロック塀の収去請求を認めませんでした(最判平成5年11月26日)。

②大規模団地に開設された4メートル幅の位置指定道路に関するもので、40年近くにわたり自動車通行がなされていたものであるが、団地住民が通行契約をしない者には自動車通行を禁止するとして簡易ゲート等を設置したため、他の団地住民がその妨害排除・予防を求めた事案において、最高裁は、「道路位置指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は、右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され、又は妨害されるおそれがあるときは、敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り、敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有する」とし、本件では自動車の通行が可能な公道に通じる道路は本件私道の外に存在しないことから自動車通行は日常生活上不可欠の利益を有しているとして、当該妨害排除・予防請求を認めました(最判平成9年12月18日)。

③Xの前面が2~3メートル幅のみなし道路で、向かい側のYがみなし道路境界線より内側にフェンスを設置していたが、マンション建設のためセットバックして設置したので、Xはその所有地を賃貸駐車場として使用しようとしたところ、Yは旧フェンス位置にポールを10本設置して自動車通行を妨害したので、ポール等の撤去を求めた事案において、最高裁は、前記②の最高裁判決の法理を引用して、Xはその所有地を居住用としてではなく、単に賃貸駐車場として利用する目的でポールの撤去を求めているにすぎず、Xが本件私道を自動車で通行することについて日常生活上不可欠の利益を有しているとはいえないとして、Xのポール撤去請求を認めませんでした(最判平成12年1月27日)。

3 以上の一連の最高裁判決を見ると、私道の通行に関して第三者からの妨害排除請求が認められるためには、

当該私道が建築基準法上の道路であること

道路が現実に開設されていること

通行が日常生活上不可欠であること

私道所有者が通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情がないこと

が要件となると考えられます。