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【不動産売買⑯】値下げ販売

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マンションや造成地の分譲において、販売価格を下げることは、当初の購入者との関係において違法と判断されることはありますか。

くり子ちゃん

1 マンションや造成地の分譲において、分譲対象の住戸や区画が多い場合、分譲の開始から終了まで相当の時間を要するのが一般的です。

時間の経過とともに、販売価格が大幅に下落した場合、当初の購入者から不満が出ることがあります。

しかし、不動産に限らず、商品の価格は、市場における需要と供給の動向によって決定されるため、商品の所有者は、原則として、同種、同品質の商品であっても、暴利行為にわたらない限り、市場の価格動向を見ながら、自由に販売時期と価格を決定することができます。

したがって、商品の売主は、一般的には、販売開始後、売残りがあった場合には、これを値下げして販売することおよびその価格を自由に設定することができると解されます(大阪高判平成19年4月13日、東京地判平成8年2月5日)。

それゆえ、マンションの売主が、売買契約締結後に不動産市況の下落があってもなお販売価格を下落させてはならないという義務があるとはいえません

多くの裁判例でも、売主の責任は否定されています(東京地判平成20年1月28日、東京高判平成13年12月19日、東京地判平成13年3月22日、東京地判平成13年1月29日、東京地判平成12年8月30日、札幌地判平成11年1月21日、大阪地判平成10年3月19日)。

2 もっとも、大阪高判平成19年4月13日では、兵庫県住宅供給公社が分譲マンションに関し、同公社は価格設定について、一般の分譲業者と比較してより重い責任が課せられており、消費者は同公社の公的性格から、同公社の販売するマンション等の譲渡価格の設定が適正になされているものと信頼して、これを購入しているのだから、売残住戸が生じた場合、完売を急ぐあまり、市場価格の下限を相当下回る廉価でこれを販売すると、既購入者らに対し、その有する住戸の評価を市場価格よりも一層低下させるなど、既購入者らに損害を被らせるおそれがあるとして、値下げ販売が違法とされ、慰謝料請求が認められました。

3 また、最判平成16年11月18日は、住宅・都市整備公団からの賃貸住宅の賃借人が、公団の建替事業に当たって、建て替え後の分譲住宅について、優先的に旧賃借人に分譲住宅をあっせんした後、未分譲住宅の一般公募を直ちにすることおよび一般公募における譲渡価格と旧賃借人に対する譲渡価格が少なくとも同等とする旨を取り決めた上で、住宅を明け渡し、実際に、旧賃借人が、公団から、平成6年12月および平成7年10月、建て替え後の分譲住宅を購入したものの、公団が、その後直ちに一般公募をせず、平成10年7月に至って、建て替え後の新団地内の分譲住宅につき、25.5%から29.1%の値下げをした上で、一般公募をした、という事案において、購入者(旧賃借人)が、公団に対して求めた慰謝料請求を認めました。