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【不動産売買⑰】交渉破棄

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不動産の売買契約について、売却予定者と購入検討者が、契約締結に向けて交渉をしてきたが、交渉の途中で、売却予定者が一方的に交渉を破棄した場合、売主は法的責任を負うことがありますか。

くり子ちゃん

1 まず、契約を締結するか否かは、当事者の自由です。

特に不動産取引は、契約成立に向けてある程度の交渉が進んだ後でなければ、契約を締結するかどうかを決められないことも多いことからも、原則として、交渉を途中で破棄しても法的な責任は生じません。

しかし、交渉が一定の段階に達すると、互いに契約が成立するであろうという信頼関係が生じることから、この信頼を裏切り、交渉を破棄した者には、交渉破棄によって損害が発生すれば、損害賠償責任が認められることがあります。

これを契約締結上の過失の法理といいます。

いかなる段階に達すれば、交渉破棄について契約締結上の過失の法理によって損害賠償責任を負うのかについては、個別の事案により異なってきますが、一般論としては、買入資金の調達、測量、分筆、造成工事を行うなど契約の締結に向けての準備がなされたかどうか、事実上契約内容について当事者双方の考え方が取りまとめられたかどうか、契約締結日が定められたかどうかなどが、判断基準となります。

2 交渉破棄の裁判例のうち、売却予定者の責任を肯定したものとして、例えば、福岡高判平成5年6月30日があります。

同裁判例は、メディカルスポーツセンター建設予定地の売買について、売却予定地と購入検討者との間で、売買代金の額が決まり、所有権移転登記と引換えに代金を一括決済することとし、契約締結日も決定していたが、権利証がなかったため、保証書による所有権移転登記申請と担保権設定による代金先払の合意までなされたが、売却予定者が契約締結を拒否した事案について、購入検討者の損害賠償請求を認めました。