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【建築紛争⑭】代替建物の賃料と引越費用

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建物に瑕疵があり、修補ないし再築工事をするために、住居居住者が転居を要する場合、転居費用及び工事期間相当分の代替住居費用は損害として認められますか。 

くり子ちゃん

1 多くの裁判例で、二回分の転居費及び工事期間相当分の代替住居費用が認められています

以下、参考になる裁判例をご紹介いたします。

➀大阪高判昭和58年10月27日

4階建てビル建設工事において建物の主要構造部分にアンカーボルトを溶接ですませるなど重大な瑕疵があり建物を再築することが必要とされた例において、瑕疵による雨漏りによって居住できなくなったことによってアパートを賃借した費用の一部(昭和47年1月~昭和53年9月分×月額6500円 合計52万6500円)の損害を認めた

➁大阪地判昭和59年12月26日

木造2階建て建物の建築請負契約において通し柱に腐材があるなどの多数の瑕疵があり建替えの必要性を認め、取り壊し再築期間中4か月の代替住居費用、引越し費用2回分を認めた

➂大阪地判昭和62年2月18日

鉄骨造り4階建て建物の鉄骨軸組架構体のゆがみ、部材溶接不良、誤った地耐力計算による不同沈下等の瑕疵について再築費用相当額の損害賠償を認めた事案において、引越し費用を1建物あたり15万円×2回、その他代替建物費用を認めた

➃大阪地判平成10年7月29日

コンクリート擁壁の上にブロック擁壁をして木造建物を建て、盛り土をしたため、建物の基礎及び軸組構造に欠陥が生じた事案において、建替費用相当額の損害賠償を認めたうえ、引越し費用2回分(各10万円)、工事費用の代替建物の賃料15万円×11か月分を損害として認めた

➄福岡地判平成11年10月20日

地盤沈下による補修工事を行うに際し、建物外周のみならず建物中心部分も掘削して作業をする必要があることなどから、約2か月間建物を使用できないことによる損害として引越し費用2回分、家賃、仲介手数料相当額を損害として認めた

なお、移転雑費10万円については、具体的な立証がないとして認めなかった。

➅京都地判平成12年10月16日

盛土地盤の処理不十分により地盤沈下を起こし、地盤固化工事、ジャッキアップ、基礎補強打ち換え、内部補修などを要する事案において、補修工事期間約2~3週間を要するため、1家族あたり1日2万5000円×20日の移転費用を損害として認めた

2 反対に、認められなかった例をご紹介いたします。

➀神戸地判昭和63年5月30日

建物の基礎、軸組構造の不良などによる瑕疵につき、原告が求めた建替費用の請求を認めず、したがって引越し費用、代替住居費用の請求を認めなかった。

➁福岡高判平成17年1月27日

工事期間中の一時期、風呂、水道、ガスが使用できないことがあるとしても、多少の不便は生じると思うが、移転しなくても工事は可能である(原審鑑定結果)から損害として認めなかった。